脂質異常症とは
血液中のLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪の値が慢性的に高い状態、もしくはHDL(善玉)コレステロールの値が基準よりも低い状態です。コレステロールやトリグリセリドは私たちの身体の健康を維持するために必要な脂質なのですが、基準値から逸脱してしまうと、様々な病気の原因となってしまうことがあるので注意が必要です。
コレステロールの働き
コレステロールは、「健康を脅かす要因」という悪いイメージを持たれている方もいらっしゃいますが、胆汁酸の原料として生命維持に必要な脂質やビタミンの吸収を助ける作用もあります。コレステロールには、HDLコレステロールとLDLコレステロールがあります。HDLは、血管の壁のコレステロールを回収し、肝臓に戻す役割を担っています。結果的に、全身の細胞内のコレステロール量を減らすことになりますので「善玉コレステロール」とも呼ばれています。基準値は40~119㎎/dl。29以下と120以上は異常値であり、30~39は要注意状態です。一方、LDLは、全身の細胞にコレステロールを運ぶだけで、回収する機能を持ちませんので「悪玉コレステロール」と呼ばれています。基準値は119㎎/dl以下。140以上は異常値、120~139は境界域です。
中性脂肪の働き
中性脂肪も、悪いイメージを持たれている方も多いようですが、身体を動かすエネルギー源であり、必要な栄養素の一つです。この基準値は、空腹時30~149㎎/dlと言われています。基準値を超えている場合、脳卒中や狭心症、心筋梗塞、大動脈瘤、脂肪肝、糖尿病、などのリスクが高まります。また、中性脂肪が高すぎると、急性膵炎を引き起こすことがあるので、注意が必要です。
脂質異常症の予防法
- 栄養バランスのとれた食事
- コレステロールを多く含む食品、脂っこい料理を控える
- 糖質(炭水化物)を摂りすぎない
- 節酒
- 適度な有酸素運動を行う
- 適正体重に近づける
- 十分な睡眠
- タバコは止める
- など
脂質異常症の治療について
食事療法と運動療法によって生活習慣を改善するとともに、必要に応じて薬物療法を併用します。一般的な食生活として、動物性脂肪を含む食品を減らし、植物性脂肪を含む食品に変更することをおすすめします。中性脂肪値が高い人は、糖質の多い食品やお酒を控え、総摂取カロリーも適正化します。 食事療法や運動療法でも効果が見られない場合は、血液中のコレステロールを減らす薬などを用いた薬物療法によってコレステロール値や中性脂肪値を低下させます。 コレステロールの治療目標値は糖尿病の有無やその他の動脈硬化疾患の有無によって異なります。将来的な合併症リスク軽減のために、健診などで異常を指摘された方はご相談ください。
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- 院長
- 山口 賢
- 診療科目
- 内科・糖尿病内科
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